地方移住を後押しするため、国や自治体はさまざまな支援制度を用意しています。知っているかどうかで数十万〜数百万円の差がつくこともあるため、移住を検討する段階から情報収集しておくことが大切です。代表的な支援制度と、効率的な調べ方を紹介します。
国の移住支援金制度
内閣官房・内閣府が推進する「地方創生移住支援事業」では、東京23区に在住または通勤していた人が地方に移住する場合、最大100万円(単身の場合60万円)の支援金が支給されます。
この制度を利用するには、移住先の自治体が事業に参加していること、移住先で対象となる就業・起業・テレワークなどの条件を満たすことが必要です。対象自治体は年々増加しており、全国1,000以上の市町村が参加しています。
さらに、18歳未満の子ども1人につき最大100万円が加算される「子育て加算」もあります。子ども2人の4人家族なら最大300万円の支援を受けられる計算です。
申請は移住後に行いますが、条件を満たしているかどうかは移住前に必ず確認しておきましょう。転入届を出してから3ヶ月以上1年以内に申請するなど、期限の制約があります。
住宅関連の補助制度
住まいに関する支援は多くの自治体が力を入れている分野です。
空き家バンク:自治体が管理する空き家情報サイトで、格安で住宅を借りたり購入したりできます。中にはリフォーム済みの物件もあります。
リフォーム補助金:空き家バンクの物件を改修する際に、工事費の一部(上限50〜200万円程度)を補助してくれる制度です。移住者向けに補助率を上乗せしている自治体もあります。
家賃補助:移住後の一定期間(1〜3年程度)、家賃の一部を補助する制度です。月額1〜3万円の補助が一般的ですが、自治体によってはもっと手厚いケースもあります。
新築・購入補助:移住者が住宅を新築または購入する場合に、50〜200万円程度の補助金を出す自治体もあります。子育て世帯や若年世帯には加算があることが多いです。
就農・農業関連の支援
農業を始めたいという移住者向けの支援も充実しています。
農業次世代人材投資資金:新規就農者に対して年間最大150万円を最長3年間交付する国の制度です。準備期間中の研修費用も支援の対象になります。
農地の斡旋・貸出:自治体や農業委員会が農地を紹介してくれるほか、農業法人での研修受け入れ制度もあります。いきなり独立就農するのではなく、まず研修生として技術を身につけるルートが用意されています。
農業機械・施設の補助:トラクターやビニールハウスなど、初期投資が大きい農業設備の購入費を一部補助する制度があります。
起業・創業支援
地方で新たにビジネスを始める移住者向けの支援も増えています。
地方創生起業支援金:地域課題の解決につながるビジネスを起業する場合、最大200万円の支援金が交付されます。先述の移住支援金と併用できるケースもあります。
自治体独自の創業補助:空き店舗を活用した開業に対する補助金、創業セミナーの開催、メンター制度など、自治体ごとに多様な支援があります。商工会議所が窓口になっていることが多いです。
シェアオフィス・インキュベーション施設:格安で利用できるオフィスや創業支援施設を自治体が運営しているケースもあります。初期コストを抑えながらビジネスをスタートできます。
その他の支援制度
移住体験:数日〜数ヶ月の短期滞在を支援する制度です。宿泊費の補助や、移住体験住宅の無料提供があります。移住を決断する前にぜひ活用したい制度です。
引越し費用の補助:一部の自治体では、引越し費用の一部(上限5〜20万円程度)を補助してくれます。
奨学金返還支援:移住者の奨学金返還を自治体が肩代わりする制度も登場しています。若い世代にとっては特に魅力的な制度です。
支援制度の調べ方のコツ
支援制度は数が多く、自治体ごとに内容が異なるため、効率的な調べ方を知っておくと便利です。
ポータルサイトを活用:内閣官房の「移住支援金についてのページ」や、JOIN(移住・交流推進機構)のウェブサイトでは、全国の支援制度を横断的に検索できます。
移住相談窓口に直接聞く:自治体の移住相談窓口やふるさと回帰支援センター(東京・大阪)では、担当者が個別の状況に合わせた制度を教えてくれます。ウェブサイトに載っていない制度や、組み合わせのアドバイスも期待できます。
年度切り替えに注意:支援制度は年度ごとに内容が変わったり、予算上限に達して早期終了することがあります。4月の新年度開始直後に最新情報を確認するのがベストです。申請前には必ず自治体に直接問い合わせて、現在も受付中かどうかを確認しましょう。